桜井章一&甲野善紀両氏の講演会

仕事仲間のIさんに誘われて昨日行ってまいりました。桜井氏は「雀鬼」の名で有名な伝説の業師。私もかつては「近代麻雀」などでその名をよく知っておりました。一方の甲野氏は古武道の研究家であり、自身も武道家として有名な人物。最近は介護技術にその知識を応用しています。
主催は私も中学時代に通った学習塾の全教研グループさん。二人のキャリアや言説からすれば、最も学習塾に遠い存在なはずですが、案の定不思議な後援会になりました(w。
タイトルが「思考を超えた思考」ということで、抽象的でわかりにくいこともあって、正直まとまったトークにはなりませんでした(何よりコーディネーター役の九大の先生がちょっとかわいそうだった)が、印象的な内容も数多く、結果的にはおもしろい講演会だったと思います。
いくつか印象に残った話をまとめてピックアップ。

<甲野氏>
・現在のスポーツやトレーニングはおかしな面がある。仕事では疲れないように筋肉を使うから、結果的によい肉体ができあがる。一方、トレーニングは筋肉を疲労させて筋肉を作ろうとする。これは論理矛盾の何物でもない。
・「教える」「教わる」「学ぶ」という概念がない種族がいる。彼らは自然の中での流れや発想の中で結果的に教わったり学んだりしている。現在の日本の「科学信仰」一辺倒とは随分異なっている。科学はただの方法論であり、価値概念を含むものではない。
<桜井氏>
・麻雀では牌を捨てるという行動が伴うが、その捨てたものには人間の性格や計算高さが入った汚いものである。何でもそうだが、捨てたものというのは汚いものだ。だから雀鬼会(桜井氏が指導している麻雀団体)では短時間で捨てる動作を行うことで思考や計算高さを排除し、きれいなものにするよう徹底している。
・その結果、卓上の4人が「きれいな」マージャンとなり、敵と一緒に場を作っていく(相手の欲しがる牌をも捨てていく)ことで場が活性化していく。
・このように私は自然な形・動作を心掛け、自然の摂理に合わせるようにしている。そういう意味では「世間一般の麻雀(金や勝負にこだわる)から牌離していく」ことを目指しているといえる。
・麻雀のように1:3のような勝負の場だからこそ、いたずらに敵を作ることは良くない。「相手をよくしよう」と思うと「相手がわかり、良くなる」。その結果、きれいな関係ができあがる。
・自分自身、「学ぶ」とか「鍛える」とかいった感覚はいままだなかった。「遊ぶ」のみ。そこから自然を理解し、結果的に学んできた。

正直、まとまった話がないため、どうしてもこのような断片的なまとめになってしまいますが、このような面白い話が聞けました。
講演後、両氏の書籍販売とサイン会があったので、ミーハーな私はしっかりサインをもらってきましたよ。

左が甲野氏、右が桜井氏。桜井氏も歳を取ったなぁ。

はい、これが両氏のサインです。

賢い身体 バカな身体

賢い身体 バカな身体

サインしてもらったのは上の2冊。
さて、両氏はこんな感じなので、当然ながらまとまった言語化されたものであっても、オカルト的だとか科学をベースとした場合の矛盾を指摘されています。興味がある方はお二人の名前でググってみてください。私もお二人の話が完全に正しいと思うような信者ではありません。おもしろいのはこの日の会場には両氏の弟子も含め、信者が多いこと。それってお二人のいう「思考を超えた思考」の概念的なものと矛盾する存在だと思うんですけどね、とか皮肉をいっちゃあいかんですね。繰り返しますが、このお二人自身の経験やバックにある思考体系のようなものは、その是非は別として凄いと感じさせるものはあります。いろいろ考えさせられた一日でした。