値下げ販売シミュレーション

下の記事を先に読んでくださいね。
「値下げして廃棄ロスを減らす」=「利益を確保する」という話ですが、実はそう簡単な話ではないということを私の経験から語ってみます。
私はかつてデパートの惣菜売場にいました。まあコロッケとかサラダとかですね。この手のはその日のうちに売らないとダメだったので、見切り(値下げ)をすることは重要でした。
当時、私がこの売り場に移動したときは、原価率を50%に仮設定(というのも日管理をするために便宜的に設定。本当の原価率は月末に材料の棚卸で確定します)し、日商が30万円程度でした。1日の終わり頃に値引きをした結果、差益率(売上総利益率)は30%くらいまで落ちます。
だからこそ、ロス・コントロールの巧拙が利益確保の生命線になります。具体的には何時頃にどのくらいの割引幅で見切りを行うのか、です。で、当時の私はこれを徹底的に研究・試行錯誤しました。
私の売場では、客が一番多いとき+売上が製造量の半分を消化したとき(つまり利益率を50%で設定しているので原価を回収できたとき)がそのタイミングでした。時間帯で言うと16時。この時に一部商品を20〜30%引きを行い、利益ベースでの予算達成したタイミングで全商品50%引き(18時過ぎ)を行いました。
結果としては売上は40万円に増え、差益率は40〜45%台を維持できるようになり、売上・利益予算ともに軽く達成できるようになりました。
重要なポイントは、原価をクリアするタイミングで、極端にいえばあとはすべて売上=粗利益なわけです。次のポイントはその日の販売員の人件費を回収するタイミング。ここからあとは粗利益=営業利益ですから、とにかく廃棄量を減らせばそのまま利益に直結します。
このようにロス・コントロールによって利益が大幅に上下しますから、見切りをしない手はないのですが、私がその際注意したのは「見切りタイミングの時刻が早くなっていないか」ということでした。それは一つに「価格の妥当性・信頼性が損なわれていないか(=安売り狙いの客が増えていないか)」の確認であり、もう一つは「定価で売れる量が減っていないか(=商品の魅力が落ちていないか)」で、ここを確認していないと薄利多売の悪循環になり、デパート的なビジネスモデルとの矛盾を引き起こすことにつながってきます。コンビニの場合も、定価販売による高収益体質がビジネスモデルの肝の一つなので、スーパーのようにガンガン見切りをやればいい、という話にはなりません。