組織変革ってやはり大事なんだなー。

最近の元気のいい企業っていうのは、ただ景況を待つのではなくて、それまでの組織風土なりをぶっこわしたところがカギなんですね。ただ間違ってはいけないのは、組織風土を壊せば高業績を収めることができる、という因果関係ではないので注意。


ちょっと古い記事ですが、日経ビジネスの7月31日号は、きしくも松下と高島屋テキサス・インストゥルメンツの記事が掲載されていて、ともに過去に執着せずにヴィジョンを明確にした事例として勉強になりました。これって言うは易し、の典型なんですがね。


特に私は元が百貨店出身なので、高島屋の記事は興味深く読みました。02年の単体の営業利益率が0.8%だった同社が、鈴木功治社長になってようやく3%を突破したというものですが、かつて同社は革新的風土があったにもかかわらず、やはり危機感が薄れてきたために徐々に徐々に閉塞状況に陥った(いわゆる「ゆでガエル」現象)ようです。


リーダーシップ論の大家、ジョン・P・コッターは、組織変革のプロセスは「解凍」からスタートする、と主張していましたが、日本の経営者はこれがヘタなんですね。これは「言わずともわかるだろ」という日本独特のハイコンテキスト文化に基づくものだとは理解していますが、要はメッセージの発し方がヘタクソ。


高島屋の場合、創業家・飯田氏の名前が役員名簿から消えたところから解凍をスタートさせました。人事は社員に対する最大のメッセージであり、保守的風土の強い百貨店ではこれは強烈だったでしょう。
この後同社は業界では禁断といえるMD(マーチャンダイジング)革新にも着手しますが、最初に人事があったから成功したという点はあるのかもしれませんね。


さて、松下の記事で、中村会長がこんなことを語っていました。同氏がなぜあの幸之助イズムの一部を否定するにいたったか、非常に参考になると思います。
 

松下幸之助の創業者精神だとか、経営理念だとか言われますが、理念だけが一人歩きして、実行、実践、行動がまるで違ったものになっていたんですね。変えなければならないものを変えず、変えてはいけないものを変えていた。すべてイージーな方へと流れているように思えました。
 社長就任時、僕が憂えたのは米国で調査された「企業が衰退する時の社風」という4つの条件に、松下がぴったりと当てはまっていたことでした。まずは「傲慢」。「自分が作ったものに問題はない。お客様が悪いんだ」という意識です。次に「自己満足」。技術者などによく見られるものです。それから「摩擦を好まない」。改革、革命、革新などはせず、とにかく摩擦が生じないようにするという、事なかれ主義の姿勢です。最後に「会議ばかりやっている」(笑)。すべて松下の典型的風土でした。