企画はそんなに難しいものじゃあない④〜問題の定義・優先順位のはなし

企画の最初は「before」、つまり問題を発見することです。ここがすべての原点なので、問題が明確でないと、この後の作業はすべてムダになってしまいます。
ビジネス(特に戦略)では、この問題発見、課題形成を、次のような分析の枠組(フレームワークで行うのが一般的です。

  • 3C分析・・・市場(customer)・競合(competitor)・自社(company)
  • 5つの力分析(5Forces、ポーター)・・・業界内の競争状況・新規参入・サプライヤーの交渉力・顧客の交渉力・代替品の存在
  • SWOT分析(アンドルーズ)・・・内部分析(強み・弱み)・外部分析(機会・脅威)

他にもいろいろありますが、要はいろいろな角度からモレなくダブリなく見ていきましょう(この考え方をMECE/ミッシーといいます)、ということです。
しかし、実務において、わざわざこういったフレームワークを使わないと問題がわからない、なんてことはあまりないと思います。第2回で書いたように、「問題とは、目標と現状とのギャップである」という定義を考えれば、単純に困ったこと、何とかしたいこと、想定外のこと、と考えればいいことです。
さて、この問題の発見においては、分析して問題をひねり出す以上に大切なことがあります。それは、「本当にそれは解決しないといけない問題か?」ということです。これには2つの意味があります。
1つめに、数あるであろう問題の中で、「最優先に着手すべき」ものかという優先順位。もう1つは、それが「本質的な問題か、表面的なものではないか」という話です。
「最優先に着手すべきか」については、たとえば病院の場合、「書類を整理する」「院内感染を防ぐ」「待ち時間のクレームを解消する」といった3つのテーマがあるとき、優先順位はどう考えても「院内感染を防ぐ」が最優先となるでしょう。なぜなら、病院はサービスの特質上、まず安全性が最も問われるからです。つまり、重要性・効果・必要性・上位方針・実現可能性などのいくつかの観点から、優先順位が決まります。私たちの場合、この優先順位の付け方が下手くそなことが多いようです。たとえば、前述の観点のうち、実現可能性において、「難しいもの」と「簡単なもの」、どちらの優先順位が高いか(=先にやるべきか)というと、多くの人は「簡単なもの」と答えますが、正解は「難しいもの」から先にやることです。優先順位の付け方は、一つには時間効率に関係します。先の例では、「簡単なもの」から処理をしていくと、「難しいもの」を処理する時間が往々にして足りなくなります。
優先順位については、もう一つ、「前後関係」も考慮すべき点になります。たとえば前述の病院における3つの事例の場合、「待ち時間のクレーム」は、実は書類(カルテなど)を探す時間が長引くことに起因している場合、「書類を整理する」からやった方が解決は早いでしょう。つまり、優先順位の付け方のもう一つのポイントは、問題現象が起こる前後関係から決まるというものです。当然ながら、前の問題に手をつけるほうが根本的な解決につながります。
2つ目の「本質的な問題か、表面的なものではないか」については次回説明します。