朝青龍をコーチングしてみる

横綱朝青龍疲労骨折とウソをついてモンゴルに帰省、そこでサッカーに興じていたそうな。で、巡業をすっぽかしをたくらむ朝青龍に怒った相撲協会が、4ヶ月の謹慎を命じたということで、これは実質的には引退勧告だという。
朝青龍が悪いのは当然としても、以前からトラブル続きだったわけで、親方・相撲協会にも大きな責任があるでしょう。白鵬横綱になったタイミングを見計らったんじゃないかと勘繰られても仕方ないわけで。
朝青龍のようなタイプの人間に、以下のような「指導」をしていたら、まず逆効果ですわね。

                                                                                                  • -

親方「おまえ、なんで勝手なことをするんだ」
朝青「だって本場所終わったじゃないっすか」
親方「でも巡業があるだろーが」
朝青「巡業がんばったところで何の実績にもならないっすよ」
親方「横綱として自覚がないんじゃないか!」
朝青「大関どまりだった親方に言われたくないっす」
親方「何をーーーーーっ!」
朝青「自分は本場所で活躍することが横綱の役目だと思ってます」
親方「じゃあウソの診断書を出したのは何なんだ!俺はモンゴルに帰るとも聞いてないぞ」
朝青「それは医者に聞いてくださいよ。でも痛いのも確かです。それに本場所終われば国に帰っても問題ないっしょ」
親方「サッカーやってて何が痛いだ」
朝青「サッカーと相撲は違うっす」

                                                                                                  • -

まあこんなふうに堂々めぐりでしょうね。親方の「威厳」が既に損なわれている(なめられているともいう)現在、「上から下へ」型のティーチングが機能しないのは当たり前といえば当たり前。では下のようにしたらどうなるでしょう(脳内妄想的で都合良すぎですが)。

                                                                                                  • -

親方「おまえ、巡業というのをどう考えてるんだ?」
朝青「本場所が一番大事で、巡業はおまけみたいなもんでしょ。そこでケガするのもバカバカしいですし」
親方「巡業というのはそういうものではないんだ。地方で直接大相撲を見ることができない人たちのためにやるんだ。その活動が本場所の集客にも、大相撲そのものへの人気にもつながってくるんだよ」
朝青「そんなもんすかねぇ」
親方「おまえがモンゴルに帰ってきたとき、モンゴルのみんなはおまえを見て大喜びしてなかったか?直接おまえの姿を見るのを楽しみにしてるんだよ。それは日本だって同じだ。横綱であるおまえをどれだけ楽しみにしてると思う?」
朝青「それは…」
親方「モンゴルで『おまえが来る』といっておいて来なかったら、モンゴルの人たちはどう思うだろ?」
朝青「がっかりするでしょうね。」
親方「日本のファンだって同じなんだよ。しかもおまえはただの力士じゃない。横綱なんだ。その影響を考えてみろ。協会や俺のメンツという問題でもないんだ。おまえがどう見られると思う?」
朝青「・・・」
親方「・・・で、体はどうなんだ?痛いのか?」
朝青「はぁ、古傷も含めてあちこち痛いっす。それは本当っす」
親方「そうか。じゃあどうやって治療していくかを考えるのが最初だったな。俺にも相談してほしかったな。確かに俺はおまえとちがって大関止まりだったかもしれないが、相撲取りとしての体調管理は俺はケガ続きだったから、おまえ以上にわかってるつもりなんだがな」
朝青「すんません」
親方「日本よりもモンゴルの方がいいという気持ちもわかる。でもそれならそれで適切な時期をスケジューリングしてやることもできたんだぞ。土俵では結局おまえは一人で闘わなければならない。でもそれをサポートしてあげたいんだよ」
朝青「・・・・・・」
親方「終わったことは仕方ない。これからどうするのが一番いいか、考えようじゃないか。おまえはどうしたらいいと思う?」
朝青「まず協会に行って素直に謝るしかないっす」
親方「そうか。そうだな。おまえ一人の責任ではなく俺にも責任があるから一緒に行くよ。それから」
朝青「それから・・・会見してファンに誤らなければならないっすね」
親方「うん。体が悪いのも事実だから、それをきちんと伝えていこう。巡業に行けないわけだから、ほかの力士たちにも謝っておかないとな」
朝青「そこまでしないといけないっすか!」
親方「横綱は大相撲界のトップだろ?それが行けないんだから、下の者に『頼む』という気持ちがないといけないわな。逆に横綱から頼まれたら他の力士はどう思うと思うか?」
朝青「感激するかもしれないっすね」
親方「そうだろ。それが横綱の『品格』というものであり、ひいては『国技』というものに対して敬意を払っていることになるんだな」
朝青「わかったような気がします」
親方「おまえが『強い』のを否定するやつはいないだろ。おまえが横綱になるまでどれだけ努力したかも俺は知ってる。しかしそれに誰もが認める『品格』があると評価されることはおまえにとってどうなんだ?」
朝青「そりゃうれしいっす・・・でもここまで問題を起こしてしまって・・・もう間に合わないんじゃないっすか?」
親方「それはこれからのおまえ次第だろ。もちろん俺もフォローする。一緒にゼロから頑張って行こうじゃないか。モンゴルの人たちも非難されたままのおまえを見るのはつらいだろ?」
朝青「そうっすね。親方、すんません、よろしくお願いします!」

                                                                                                  • -

以上、希望的観測も含めた横綱へのコーチングの様子でした。