教育私論です。

以下は私論です。
現在の教育の問題点は、安部総理とそれほど変わりませんが、やはり以下の点に集約されるでしょう。

①現在の「学力」とは「記憶力」中心である
②義務教育の場合、受験をゴールとするため、どうしても規範意識・情操面が軽視される
③共働きなどによる「家庭教育力」が低下しており、学校への依存が強くなっている

①に関しては、大前研一氏がおもしろい事例を例に挙げています。大前氏によればアメリカの大学ではカンニングOKだそうです。携帯やインターネットが発達した現在、カンニングを防ぐこと自体が物理的に困難であることも一因ですが、実社会の場合、情報はいくらでも取ることはできるわけです。つまり記憶力はさほど必要ない(もちろん低学年時の基礎学力は必要です)時代なのです。したがって現在ではむしろ情報リテラシー教育の方が重要であると。私はこれに加え、やはり情報からロジックを組み立てる「論理力」と斬新な視点を見出す「発想力」が必要だと考えます。
この記憶力偏重スタイルの解消は、意外と簡単です。すでに一般企業の入社試験でよく採用されているように、大学入試を記憶力偏重型から論理力・発想力を問う設問に変えればいいのです。そして小・中・高校では、教師の役割が「ティーチング」⇒「コーチング」「コンサルタント」「カウンセラー」にシフトさせます。

②に関しては、非常に難しいのですが現在最も欠けている学習分野でしょう。実社会でもっとも必要なのはコンプライアンス、マナー、コミュニケーションですが、少なくとも私はこれらを学校の授業で学んだ記憶はありません。おもしろいことに、ビジネス・スクールでもコンプライアンスはともかく(企業倫理の科目であった)、後者2点はありません。そういえば「営業」という科目もありませんでしたね。ビジネス・パーソンには必須だと思うのですが。

③に関しては、厚生労働省とも協働して解決する必要があると思いますが、すくなくとも文部科学省の担当範疇からいえば、「家庭教育力はない」ものとして考える方が良いような気もします。ただし、建前上役割は明確に分離しておきます。

また、公立学校はもっとそれぞれの学校のカラーを出しても良いのではないでしょうか。ビジネスの世界でいう「差別化」ですが、「マナー」に強い学校、「論理力」育成に優れた学校、「理系」に強い学校、いろいろあって選べる形も良いと思います。私学と違って競争意識が働かないだけでなく、ガチガチな学習指導要領で縛られている現在の公立学校は、教師にとっても子供にとっても不幸な状態ではないでしょうか。