監督がすべてだ! "You Are The One" / a-ha

Stay on These Roads

Stay on These Roads

ワールドカップも2戦終わり、ネットをはじめ、”日本選手叩き”が始まりました。まあ定例行事みたいなものですが。


私はサッカーにそれほど詳しいわけではないので、選手の能力だのなんだのはよくわかりません(でも昨日の柳沢選手は「あれはないだろ〜」とツッコんだわけですが)。
ただ、いろんな意見を見てみると、選手のフィジカルな問題点、あるいはテクニカル的な問題点を指摘されているものが多く、一般のファンの方がよほどわかってるんじゃないかと思えるほどですが、でも選手から言わせれば「今さら」と思うのではないでしょうか。
だって、フィジカルな面にせよ、テクニックにせよ、それを分かった上で選考したはずではないですか。今更「宮本選手はフィジカル的に問題がある」だの「柳沢はFW向きではなくむしろMFだ」などと言われても、ある意味で選手には責任がない。「選んだ側の問題」ではないかと。つまりジーコ監督だと。
サッカーに詳しくない私ですが、今まではやはりスポーツとは選手が主役で、監督やコーチができることなんぞそんなにないと考えていましたが、ここ2戦を見ているとそうは思えなくなりました。これはサッカーというスポーツの特色かもしれませんが、極めて作戦面の重要性が高いように思いました(このあたりはバスケも似てる気がする)。作戦面が重要である以上、その作戦を実行するにふさわしい人材をそろえなければいけません。おもしろいのは、その作戦に必要な人材とは、常に優秀な選手とは限らない点であることです。
よくあるでしょう、実力などはそこそこなのに、ラッキーボーイ、伏兵とでもいうべき選手が出てくることが。ということは、作戦の設計、それに絡んだ資源調達(人材)、そしてそれを実行するためのシミュレーション(練習試合)とトレーニング(練習内容)にかかわる監督およびコーチ陣の資質が最重要である、となります。


さーて、この話は結局ビジネスの世界でも同じなわけで、作戦が「戦略」、資源が「経営資源」、資源調達が「資金調達」「人材採用」、シミュレーションが分析に基づく「戦術」、トレーニングが「人材育成」と考えれば、やはりこれはトップ層の役割が結局のところカギであるとなるわけです。
私は常々「部下は(能力が上司よりも優れていても)いろんな意味で上司を超えることはできない」と考えていますが、これは究極のところ、「権限」というものに突き当たります。選手はあくまで選手であり、監督の指揮のもとに作戦を遂行していきます。もちろん選手は作戦を理解し、その遂行に努力する「遂行責任」はありますが、やはり勝敗を決するのは「結果責任」を持つ監督でしょう。それは企業でも同じ。トップは「権限」を持つからこそ結果責任を有しますし、それだけの重みと権威を持つわけです。


ジーコという人は選手としてはそれこそ神様だったわけですが、長嶋茂雄氏同様、「名選手、名監督に非ず」というのは上記のようなことを考えるとよくわかる気がします。これについてはまた別の機会に述べることがあるかもしれませんが、選手・人材を活かすも殺すもトップ次第というのをこれほど痛感したのは、皮肉にもサラリーマン時代ではなく、ワールドカップだったというところが実に自分でもおもしろいですね。