元巨人軍監督・川上哲治氏の「人を見る目」

巨人が強い。なぜだ。アンチ巨人の私としては非常に不愉快なわけですが、それはともかく、プロ野球シーズン開始前、楽天の野村監督の本を読んでいて、おもしろいことに気づきました。

巨人軍論 ――組織とは、人間とは、伝統とは (角川oneテーマ21)

巨人軍論 ――組織とは、人間とは、伝統とは (角川oneテーマ21)

野村監督といえば「ID野球」というほど、野球にデータ・科学を持ち込むことで技術の限界をカバーすることを主張しているイメージがあるんですが、一方で野村氏は「野球人はプロである以上、『人格』を磨くための『人間教育』が必要だ」という持論を持っていらっしゃいます。
その野村氏の著作の中で、巨人軍栄光のV9を成し遂げた川上監督の評論家時代のコメントが紹介されていたので紹介します。

「淡口君(元・巨人軍選手、当時新人)は成長しますよ。彼は親孝行ですから」

野球人として成長することと「親孝行」がどう結びつくのか? 世間の人は、このコメントの意味が理解できず、川上監督のアナクロさ(時代錯誤)を笑う例としてよく引き合いに出されるのだそうです。
ところが野村氏は、このコメントを聞いて「なるほど」と思ったそうです。「親孝行だったら、孝行をするために金を稼ぎたいと思うだろう。そうなれば素直にコーチの指導に耳を傾けるだろう。だから技術も成長するはずだ」という理屈です。なるほどなぁと私も感心しました。ちょっとずれるかもしれませんが、つまり「人格」(この場合はpersonalityというよりman of characterの方のニュアンス)というのは、仕事の成果という点でも重要なファクターなんですね。よくよく考えれば当たり前で、上司や同僚、顧客との良好な関係は「人格」によってもたらされるものですから。


実は、私も独立してからの個人的なテーマが「人格を磨く」こと。『国家の品格』という書籍も大ヒットしているように、今年のキーワードにして永遠のテーマとして「人格・品格」なのでしょうね。

国家の品格 (新潮新書)

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エデュテイメント・パートナーズ 秋満