障害者雇用の会社

今日、「報道ステーション」で知的障害者を雇用している会社の特集がありました。非常に感銘を受けたのでご紹介いたします。
その会社は日本理化学工業株式会社」
http://www.rikagaku.co.jp/index.htm
この会社ではダストレス・チョークをはじめ、学校関連の文具などを作っている会社で、50年も前から知的障害者の方を社員として雇用しているそうです。そのきっかけは、地元の障害者学校の先生が生徒を雇ってほしい、どうしてもダメならせめて仕事というものを体験させてあげて欲しいと熱心に頼みこんだことからだそうです。
障害者雇用どころか福祉自体をまったく知らない同社の大山社長でしたが、その熱心さに心を打たれて2週間の職場体験で2人の知的障害者を受け入れました。2週間が終わると、他の社員がこの二人を何とか雇用してくれないだろうかと社長に訴えてきたそうです。というのも社員がやめろというまでとにかく一生懸命働く様子を見て、これだけ熱心に働いてくれるならばぜひ働き続けてほしい、至らないところは我々でカバーするから、とまで申し出たそうです。
結果、同社は知的障害者の比率を50%まで高め(かなり重度の知的障害者も含め)、今日に至っています。障害者の賃金は月12万円。これは法律で定められた最低賃金ですが、障害者雇用の現状はほんの数万円レベルのところがほとんど(これは搾取ではなくて、実際ほとんど障害者による労働の付加価値が得られないため)であることを思うと、一般人と同じ最低賃金をもらえているというのは凄いことなのです。これにちゃんとボーナスと役職手当も出るそうですから、同社が重度障害者多数雇用事業所のモデル第一号として堂々たる事例であるのは当然のことでしょう。
同社の労働管理は、「適材適所」。つまり得意分野に徹底させて従事させる方法でモチベーションと効率を上げているとのこと。もちろん健常者と比べるとまだまだ効率は悪いでしょうが、量をこなす発想で経営を行っているそうです。
同社の主力商品がチョークであることから、少子化の現在、需要が落ちており、経営的には大変そうです。また日本全体でも経済の冷え込みから障害者の解雇が続いているというニュースもありました。しかし何とかこういう会社には頑張ってもらいたいものです。

日本理化学 キットパスきっず 12色 KKD-12C

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かつて、ヤマト運輸の故・小倉昌男会長が、障害者雇用の賃金の実態に驚き、健常者並みにしたいとの思いからヤマト福祉財団を設立しました。
http://www.yamato-fukushi.jp/
小倉昌男 経営学

小倉昌男 経営学

福祉を変える経営~障害者の月給1万円からの脱出

福祉を変える経営~障害者の月給1万円からの脱出

日本各地では社会福祉法人を中心に、障害者をはじめとする福祉事業に尽力されています。ここから株式会社の取組のようなノーマライゼイションやノブリス・オブリージュの理念が、より広がりを見せることこそ、社会を明るいものにすることを願っています。
なお、日本理化学工業の会社概要にあった言葉が素晴らしいので改めて引用しておきます。

障がい者の雇用を通じて社会とジョイントし、
楽しく美しい生活具の創造と、地域社会の人々から愛される企業へ

(同社にある「働く幸せの像」に)刻まれた言葉:


導師は


『人に愛されること、
人にほめられること、
人の役にたつこと、
人から必要とされること、
の4つです。
働くことによって愛以外の三つの幸せは得られるのです』 と。


「その愛も一生懸命働くことによって得られるものだと思う」


 社長 大山 泰弘(現会長) 平成10年5月

追伸:日本理化学工業はベストセラー「日本でいちばん大切にしたい会社」にも紹介されているそうです(私は未読)。ただしこの本の論旨については書籍案内を読む限り、異論もあるので、あくまで事例における事実関係だけを追うようにして読んでください。詳述はしませんが、著者の主張はいくつかの前提においてでしか成り立たないといえる点で、あくまで一つのビジネスモデルのケースであり普遍的な経営理念・方針ではないということに留意を。

日本でいちばん大切にしたい会社

日本でいちばん大切にしたい会社

また、11月にテレビ東京カンブリア宮殿」でも紹介されていたとのこと。