太田あや「東大合格生のノートはかならず美しい」

東大合格生のノートはかならず美しい

東大合格生のノートはかならず美しい

去年の秋に発売された本書を見たとき、「これは絶対売れる」(目のつけどころが面白い)と思ったらやはりベストセラーに。ビジュアルも多いので、単に読み物としても面白そうだったですが、私は受験生ではないので(w)今になってやっと買いました。
本書によれば東大合格者のノートには「とうだいのおと」の法則があるそうです。

「と」…とにかく文頭は揃える
「う」…写す必要がなければコピー
「だ」…大胆に余白をとる
「い」…インデックスを活用
「の」…ノートは区切りが肝心
「お」…オリジナルのフォーマットを持つ
「と」…当然、丁寧に書いている

これらの法則、語呂合わせは別として、項目としては当り前のようにも感じますが、社会人も十分に参考になります。以下、私の見解。
「と」…とにかく文頭は揃える
これは単元などの見出しを指します。これを意識しながらノートを作るということは、ロジカル・シンキング(論理的思考)に基づいたツリー構造で学習項目を整理することになります。マインドマップもそうなのですが、論理的思考がなければ雑駁な知識項目の羅列でしかありません。
「う」…写す必要がなければコピー
これは莫大な情報処理を行うための効率化。社会人はこれも結構ダメですね。企画書のフォーマットやデコレーションにこだわってかえって効率も生産性も落としてしまっています。
「だ」…大胆に余白をとる
これは余白に板書以外の追加情報を書くため。疑問・アイデアなどをそこに書き入れることによって、理解度が上がるだけではなく情報活用ができるようになります。
「い」…インデックスを活用
これはノートの最初のページに目次をつけてレファレンスの効率化を図る方法。こんなことをやるなんて学生の頃は考えもしなかったなぁ。もっともまとにノートも取らずに友達のコピーばっかりやってましたが。社会人ではこの手法はファイリングの技術にもつながります。
「の」…ノートは区切りが肝心
情報をまとめる際、区切りを1ページ・見開き2ページでまとめる。それ以上になるときは切り貼りでつけ足す。情報の一覧性を重視した手法。ビジネスでは企画書の概略・コンセプトマップにあたりますし、手帳などの情報の一元化にもつながる考え方です。
「お」…オリジナルのフォーマットを持つ
これはノートのレイアウトを決めて、それぞれの情報を分類すること。これも企画書やプレゼン資料などでは必須の技術ですね。本書では教科ごとのレイアウトの例も掲載されていて、高校時代は私もほぼ同じレイアウトでした(ただし漢文だけは違ってました。そのせいか私は漢文は苦手)。ということは、当時の先生はちゃんと指導してくださったんですね。私はダメな生徒でした(^^; レイアウトは同じでも私は理解がダメだったというのは別の理由があったのだと今回わかったのですが、それは後述します。
「と」…当然、丁寧に書いている
まあこれはそのままですね。これも後で詳しく書きますが、彼らのノートは「記憶」のためというより「理解」のためのノート(もっといえば最後のゴールである入試を意識したノート)にきちんとなっているのです。それはつくづく感心しました。
上記の法則から、「理解」のためのノートとしての役割を強化すると、次のポイントが見えてきました。言いかえると、形だけ真似してもダメということ。私がせっかく当時の先生から上記の形はそれなりに指導されていたにも関わらず、理解度が低かったというのは、結局以下を実践していないからだと。

1.単に板書を写すだけでなく、「自分の考察・疑問」をノートに書いていない 
→ だから理解が薄いし、記憶にも残らない。試験が終わると完全に忘れる
2.ストーリーをノート上で表現していない
→ 「つまり」「まとめると」などのキーワードが東大合格者のノートには記載されている。これで記憶に頼るのではなく、理解度を高めるようになっている。
3.後から見直さない。レヴューをしない
→ ノートを取ることだけで満足しているので、レファレンス性が弱い。反復での習慣化ができない。

あぁ、高校時代からこういうことをもっと徹底していれば…。私がノートというのを重要視しだしたのはビジネススクールに行ってからなので、何だかおしいことをした気がします。この本のように一見受験生向けのような内容にも必ず仕事へのヒントってありますね。参考にしたいものです。