看護師配置巡る“争奪戦”、6割の病院が予定数確保できず

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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070515-00000105-yom-soci

 昨年の診療報酬改定で看護師配置の新基準が導入されたことに伴い、全国の病院を舞台に巻き起こった看護師の“争奪戦”。その行方を日本看護協会が調べたところ、予定していた看護師数を確保できなかった病院が6割近くに上ることがわかった。

 教育体制などを充実させた病院が確保に成功したのに対し、給与など基本的な条件の悪い病院は苦戦しており、“勝ち組”“負け組”がくっきりと分かれた形だ。

 新基準は、「入院患者7人に対し看護師1人(7対1)」という手厚い配置にすると、入院基本料の診療報酬が増額されるというもの。同協会では、この新基準が、今春の看護師採用に与えた影響を調べるため、4月中旬、一般病床を持つ全国3000病院に緊急アンケートを実施。1443病院(48・1%)から有効回答があった。(読売新聞)


いわゆる7:1基準ですが、こうなることは医療関係者なら初めから予想できたことでした。ところが国は「看護師は不足していない」との主張を変えず、この新基準をゴリ押ししました。国の認識は、看護師資格ホルダーの数の充足であって、実稼働ベースの看護師数ではないのです。結婚・育児などでいったん離職した看護師が復職するのは相当ハードルが高いことも医療関係者なら常識レベル。ましてや忙しく医療技術の進歩が著しい急性期の病院に復職するというのは非常に難しいことなのです。そもそも一回辞めた看護師が復職するというのはあまり期待できないのではないでしょうか? となると看護師の絶対数が足りないということを前提にして議論しないと無意味なことになります。
既に中医審は看護基準の見直しを検討しているようですが、前述のように国は現場の現状を理解した上で施策を検討しないと、元の木阿弥を繰り返すだけになります。少なくとも今実際に働いている看護師を離職させない(=看護師を辞めない)取り組みが危急であるように思います。
記事中の太字部分にひとつのヒントが隠されています(ただし記事は因果関係が間違ってる。教育制度が整っているところが新たに看護師を集めることができたのではない。離職者を最小限にとどめただけの話。ましてやホルダーの復職を促したわけがない)。これは新卒医師が勤務先の病院を選ぶ条件とも重なっているようですが、現在働いている向上心の高い看護師にとっては、単に給与などの条件がいいだけではなく、自己成長できる機会の提供が期待されています。各病院も人事政策の変更を求められているのは言うまでもありませんが、現在の「実際に働いている」看護師の数を維持するという観点からも充実した(しかもキャリアパスに沿って体系立った)教育機会を提供・補助していく施策が必要ではないかと思われます。繰り返しますが、この施策はホルダーを復帰させるというより、現在働いている看護師を離職させない(=病院ではなく看護師を辞める)という策のレベルです。実働看護師数を新たに増やしていく策は別個で必要です。