「もうやめや」〜仕事の目的と行動について〜

松下幸之助氏のエピソードの中でも好きな話のひとつです。

昭和39年、松下電器の経営改革のために、会長と営業本部長代行を兼任することになったときのこと。
ある朝、幸之助氏が「今、事業部や営業部からとっている報告書、あるいは本社から出している定期的な通達を全部持ってきてほしい」」と指示した。
書類は会議用の机の上にすぐに山積みになった。しかし、一日、二日と経過しても、次の指示は何もせず、幸之助氏も集めた書類を見ることもない。
ついに三日目、経理課長が「これを返していただかないと仕事になりません」と幸之助氏の許可を得て、必要な書類を取りにきた。以降、数人がやむなく必要になって書類を取りにきた。だが、それまでであった。二十日目の朝、幸之助氏は残っている書類についてこういった。
「これらの書類は今日限り廃止や。二十日も見ないですむ書類を、なんで集めたりしているのか。もうやめや」
PHP研究所編「松下幸之助の見方・考え方」より)

あらゆる仕事には何がしかの意味があります。しかし、こと書類・会議といったものにはこういった無駄が多いようです。派生的にはデータを取ったりといった作業も含まれますが、常に何のために(for what)ということを考えることの必要性を示したエピソードです。


でもこの話、今はマネしちゃダメですよ。だって、今じゃ書類はみんなパソコンにファイル化されていますから、ペーパーで持っていなくても現場は困りませんから。