進化とともに退化するもの

週末、湯布院の温泉に行って参りました。そこで夜、「SPレコードを聴く夕べ」みたいなイベントがあって、SPを初めて聴きました。SPというのは、レコードの回転数が78回転のもの(普通のEPシングルが45回転、LPアルバムが33回転)です。
若き淡谷のり子先生(すっごいよかった)からマリア・カラスプレスリーまで聴かせてもらいましたが、アナログ独特の音質というか音響感が実にすばらしい。
思えば音楽ソフトはアナログからデジタルにかわり、CD、MD、ネットと変わってきましたが、どんどん質が悪くなった…というより、良いものが失われてきたように感じます。CDの場合、80年代後半に出たものは、今の耳ではとてもじゃありませんが音の線が細く、軽く、「聴けない」代物です。さらには90年代に入って、デジタルゆえの宿命であるコピーを防ぐために、コピーロックされたもの(CCCD)が出て、これがさらに悪くなりました。昔カセットテープでノイズ・リダクションっていうのがあったのを覚えている方もいるでしょう。テープ走行音の「シャーッ」という音を小さくするために、ドルビー・システムなどのノイズ削減の機能がついてました。確かにノイズは減りましたが、元の音もくぐもった感じになってしまい、私は結局ドルビーはほとんど使いませんでした。CCCDはあれと似たような感じがあって、一般のファンからもCCCDは敬遠されています。
MDにいたっては、小さいという携帯性が重視された結果、ジャケットが無意味になり、結局ソフトとして普及するには至りませんでした。で、現在はネット流通ですが、ただ音を聴きたい人にとってはOKなんでしょうが、私のような「モノ」にこだわる人間としてはさびしさも感じます。
一般にはテクノロジーの進化によって利便性が高まり、品質も高まっていくのでしょうが、こと音楽ソフトや書籍に関してはそう簡単ではないようです。