どうした!日産! "Turn Around" / BILLY JOEL

Cold Spring Harbor

Cold Spring Harbor

ターンアラウンド(事業再生)に成功した日産自動車が、ここに来て業績が伸び悩んでいるようです。

 日産自動車カルロス・ゴーン社長は27日、横浜市内で開かれた株主総会で、84万6000台と見込んでいた2006年度の国内販売台数を下方修正した。
 総会でゴーン社長は06年度の国内販売台数について「80万台から84万6000台の間になる」と説明。総会後の記者会見で「80万台に近い可能性の方が高い」と述べた。
 ただ、ゴーン社長は「08年度に世界での年間販売台数を420万台にするという公約は達成する」と強調した。
 日産の国内販売は、新車投入が少なかったほか、軽自動車以外の需要が落ち込んだことから昨年10月から8カ月連続で前年同月を下回っている。
共同通信) - 6月27日

低迷の背景には、国内市場における軽自動車への需要シフトがありつつも、自動車の総需要がやや停滞しており、実際のところトヨタ・ホンダなど他社も苦戦しているようです。加えて原材料価格の高騰による収益性の圧迫の要因(約500億円)もある模様。


今回の場合、同業他社も同じ状況なのでそれほど心配することはないようにも感じますが、みなさんはどう思いますか?一般には吉野家のように一度ターンアラウンドを経験したり、V字回復を果した企業はこういった逆境に対する免疫が出来ているように思います。私はカルロス・ゴーン氏の信奉者(大好きです!)で、非常にIQ、EQ的にも優れた人物であると思いますが、1点だけ不安点があります。それは、新車開発スケジュールです。言い換えればマーケティング・カレンダーといってもいい。

 「『ゴーン・マジックが通用しなくなった』という否定的な報道がこれからも出るだろうが、どうか私を信じてほしい」。日産自動車カルロス・ゴーン社長は27日の株主総会で、国内外で続く深刻な販売不振を問いただす株主に対し強気の弁明を繰り返した。
 日産は昨年10月以降、国内販売が8カ月連続の前年割れで、北米も新車投入がなく苦戦が続いている。同9月までの大規模な販売促進活動の反動で、ゴーン社長は「年度前半の台数減は予想されたこと」と釈明。「08年度の世界販売420万台」という長期目標の達成を約束した。ただ、新車を投入する今秋までは厳しい状況が続くとし、84万6000台と設定した06年度の国内新車販売台数については「80万〜84万6000台になる」と、下ぶれする可能性に言及した。(毎日新聞) - 6月27日

これだけ見ると、日産の開発部門の遅れが問題のように見えますが、かつて「日産リバイバルプラン」をゴーン氏が出したときも、目標販売台数の裏づけとなる新車発売がかなり当該年度の後半だったように記憶しています。このあたり、アウトプットを出すスケジュールと、それに対応したマーケティングのそれとが連動していないなと感じられるのです。どうなんでしょうね?たぶん営業部門はこれまでもヒーヒー言ってきたのではないでしょうか。

カルロス・ゴーン経営を語る

カルロス・ゴーン経営を語る

上の本はいい本ですよ。ミシュランルノー時代から日産復活までわかりやすく述べられています。
ところで、下記は毎日新聞の同じ記事の後半です。
 

05年度の事業報告では取締役11人に支払われた報酬総額が25億2700万円だったことを明らかにした。トヨタ自動車の9億4000万円(対象26人)などと比べ、一部株主からは「ダントツに高い」という声が出たが、ゴーン社長は「これまでの目標達成に見返りがなくてはならない」と話し、妥当な額との考えを強調した。

役員報酬が低いか高いかは、相対的なものなのであまり意味を持たない話だと思いますが、配当性向さえまともだったらいいんじゃないかなと個人的には思っています。日本の役員報酬は海外のそれと比べて異様に低いのは事実で、トヨタとの比較というより海外企業との比較を見てみたいものです。またトップとボトムの社員の年収格差倍率なども。


話を日産に戻しますが、昨年日産の栃木工場の方とお話しする機会がありましたが、とにかく仕事に対するモチベーションが高く、目標志向で、管理職の方の目がキラキラしていたのが印象的でした。加えて、組織としてボトムの力が強い(次年度目標を現場の部下から突っつかれるのだそうです。「早く出せ」「もっと高く」と)のが今の日産。
前述のように、そう簡単に逆戻りはしないと思います。