事業仕分けの評価

ぶっちゃけ、民主党の行った事業仕分けの評価はまだ早いとはいえ、既にいろんな識者から論点は提示されているように思います。財務省主導という欺瞞が当面最も大きな問題点として残るでしょうが、個人的な感想を少し。
「1時間で仕分けを行うのは無理がある」という意見について。1時間「も」時間をかけて必要性がわからないならやっぱり無駄だろうなと。
金額こそ大きいものの、事業企画としては基本的に外部の天下り先か随時契約的な民間企業に丸投げな部分が多いからまともな説明ができないのかと勘ぐってしまいたくなります。公務員の役割はいかに「やらないこと」を決める、いらなくなった政策を「やめる」かを判断することと学ぶそうなのですが、まじめにやっている地方自治体の公務員がこれではバカバカしくてやってられないかも。
また「廃止・減額などの判断基準に疑問がある」について。これはごもっとも。事業仕分けでは天下りの有無が最重要点になっており、それ以外の判断基準はかなり恣意的だったように感じられます。
ちなみにけっこう多いんですよね、一般の企業でもこういう判断基準を曖昧にしたまま結論を出すというのは。決定にいたるプロセスが結局不明瞭だから社内からも不満が出て、予定通りに進まないわけで。なぜ組織ってこう情報を隠したがるのでしょうか。情報は上の人間の所有物ではないですし、戦略の実現性・実行性を大きく担保する要件だと思うのですが。個人情報と上場企業のM&A関連案件以外は何でもオープンにすべきだと思いますね。労働組合を経験していた頃、組合員の理解を得たいのなら情報をそのまま出せば良いのに、とよく思ったものです。意外かもしれませんが、組織って危機感がそれほど切羽詰まって持たないものなんです。経営者は確かに危機感(だけ)を煽る文句を吐きますが、それに数字なり、あるいはその数字の持つ意味なりを伝えない限り「意味」として「危機感」が伝わらない。最近のJALの報道を見ていると、まさにそんな「ゆでガエル現象」だったんだなという感じがします。「債務超過」の持つ意味をもっと早く理解していれば、経営陣が国のおかしな航空行政に翻弄され続けることも、労組がいたずらに抵抗することもなかったかもしれません。