実務的に使えてしかも気軽に読める本

マネジメント改革の工程表

マネジメント改革の工程表

ネット上で非常に評判が良かったので買った本。筆者はTOC(制約理論)の専門家で、この本ではタイトルのように「マネジメント改革」というよりも、改革策を策定する際に行われるプロジェクト・マネジメントに焦点を当てています。これがなかなか読ませるといいますか、この手のプロジェクトの躓きやすい点をきちんとついています。特に「サバを読む」話はうまく体系立った説明がされていて(よく考えるとブルウィップ効果だとかサプライチェーン・マネジメントで出てはきますが)、納得させられます。この日本能率協会コンサルティングの「実務入門」シリーズはコンパクトな割りに良本が多いのですが、この本も概略として使えます。一般的な問題解決本よりも、はるかに現場での実践をイメージしているため、QCや統計、信頼性工学などさまざまな「実践技術」について幅広くレクチャーされています。ただやはり入門本なので食い足りなさは当然ありますが、それは次のステップということで。ただし後半のケース別アプローチについては、ケースが具体的なだけに中途半端な記述はかえって一般論に陥っています。言わんとすることはわかるのですが、これは編集として問題だと思います。企画系スタッフはこの2冊をセットで読むとまさに「実践力」がつくと思います。でももっとも重要な「実践力」は経験のための行動ですけどね。